”リッチブラック”とは?

マハーカーラ

こんにちは! 布川です。
今年の漢字・年賀状の準備など、淋漓たる墨痕に触れる機会の多い季節です。
黒さ! へのこだわりを印刷物で再現したいときの手法、それがリッチブラックです。

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▼目次

①リッチブラックとは?

②リッチブラックのメリット

③リッチブラックのデメリット

④実際に使用するときのデータの作り方と注意点

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リッチブラックとは?

印刷物の黒は通常K100%(スミベタ)で表現しますが、この黒の部分に、K以外のCMYの色でも刷った色のことをリッチブラックと呼びます。

 

リッチブラックのメリット

印刷のインキは、乾燥するとどうしても湿っているときに比べて浅い色になってしまいますが、リッチブラックを用いることで、印刷物上の黒が深みのある・引き締まった黒になります。

また、印刷の際にインキに混じった微細な気泡が弾けてインキの乗らない部分ができてしまうことがありますが(ピンホールと呼びます)、リッチブラックではこれが起きにくい・起きても目立ちにくいという効果もあります。

リッチブラックのデメリット

インキの掛け合わせ全てに言えることですが、わずかな版のズレはなかなか避けきれません。
例えば印刷物で、どう見ても意図的ではなさそうなのに特定の色がずれて見えるものなどが時々ありますが、これは印刷時の各版のズレによるものです。

”版ズレ”とは?

眺めればいいだけのものであれば特に支障はないですが、読まねばならない文字でこれが起きてしまうと読みにくい・目が疲れるなどの実害が出てしまうこともあります。

また、紙の厚みや使い方にもよりますが、紙にのるインキの量が多くなるため、重なった紙の裏にインキが移ってしまうことや、インキが裏まで染み通ってしまう場合があります。

 

実際に使用するときのデータの作り方と注意点

一般的には320%前後を目安とするとよい、とされていますが、用紙や印刷物の使用目的によっても変わってきます。
例えば弊社では、手帳用紙が薄いことと、折り重ねて使う前提であることとで、280%を基準値としています。

また、意外と気付きにくいポイントとして、印刷はCMYKの4版で行うため、データをRGBで作成してしまうと変換時に黒にしたはずの部分が掛け合わせになってしまう場合があります。
RGBでの入稿が可能となっている場合は、それを前提とした処理を、DTPや製版の工程で行うということだと思われますが、その場合でもデータがRGBである旨を一言添えると親切です。

 

用途によって使い方・加減を変えることで、リッチブラックの効用を最大限に引き出せます。印刷現場とすり合わせのうえ、上手に活用していきましょう!